平成20年度 荒尾市医師会 事業計画

小泉内閣の狂気の医療制度改革は、過大な将来の医療費見積もりにより危機感をマスコミや世間にあおり、財源がないという理由で経済財政諮問会議の云うままに、国会の審議もなく閣議決定で事が運び、現実を無視した療養病床の削減、自立支援制度、後期高齢者医療制度など高齢弱者は切り捨てられ、社会不安は増大している。更に今回の診療報酬改訂は本体0.38%アップとのことであるがそれは病院勤務医対策、小児科、産婦人科に吸収され一般の診療は0.82%の3期連続のマイナス改定となる。それに加え今年度からは場当たり的に、後期高齢者医療制度、特定健診・特定保健指導を強引に推し進め、医療現場や社会は混乱している。ますます進行する少子高齢社会において年金・医療・福祉など平時の安全保障とも言える社会保障制度は後退を重ね、毎年自然増分から2200億円が削減され、医療機関の体力は限界に達している。これは支出を見直す大義名分で、何処に消えるか分からない多額のODA、使い放題の道路特定財源、防衛省などの随意契約、官僚の天下り先である特殊法人などに回る320兆円もの特別会計。これは一般会計の4〜5倍にも上る。こんな矛盾を先送りしたままで、官僚の筆先一本で簡単に出来る統制経済といえる医療費を削減する政策が推し進められている。国民の保健医療福祉を担う専門集団の医師会の無力さを痛感する。
地域医療についてみると、新研修制度の影響と医局制度の崩壊や度重なる朝令暮改の介護保険や診療報酬引き下げ、更に住民の権利意識の高揚による医療訴訟の頻発により地域中核病院では医師の引き上げが続き存続の危機に瀕している。
我々医師会は、出口の見えない逆境の中ではあるが、目覚しい発展を遂げている医学医術が21世紀の国民の幸福に寄与するよう、医の倫理の高揚、医療の質の向上と医療安全対策推進に努力している。また会員は地域住民の健康維持増進のため献身的に地域活動を続けると共に、更に良質で効率的な医療を提供する為に共存共栄に心がけ、周辺地域中核病院と共に緊密な病診連携を推進し、医療機能の分化を促進し、地域住民との信頼関係を構築しながら医療を提供しなければならない。
また関係諸団体や行政との密接な連携も必要であるとともに、理不尽な医療改革を阻止し、改善する為に力を貯え「医政なくして医療なし」の原則の基、医師会会員一同政治活動に目覚め、日医・県医と連携しつつ、積極的に関わるべきである。
おわりに保健医療福祉の充実は安全安心な市民生活の基盤である。このような理念の下に21世紀に於ける地域医療の更なる充実・発展の為、会員一致団結し、地域住民が期待する保健医療福祉の実現に向け、以下の平成20年度の事業計画を実施する。

重点項目

1.倫理の高揚

医師は地域社会のリーダーであることを意識し、自ら資質の向上に努め、驕ることなく、お互いを尊敬し、自他共栄を基本とし、患者の診療に際しては常に患者の立場に立って丁寧なインフォームドコンセントに努める。

2.生涯教育の推進

1.日医・県医、医学講座の推進に努める。
2.本会独自並びに隣接郡市医師会との学術講演会の共催、研修強化に努める。
3.内科医会・外科系臨床医会・循環器勉強会・消化管画像診断研究会・漢方懇話会・小児医療
  勉強会・整形外科勉強会等の研修の充実に努める。

3.地域保健に関する事項

(1)学校保健活動の充実
少子社会が進み、小中学校の統廃合が進む中、学校保健委員会を各校で開催し、知育・徳育・体育・食育の向上に貢献し、児童生徒の心身の健全育成に努める。
(2)検診活動の充実
今年度から始まる特定健診・特定保健指導に主体的に取り組み、地域住民の生活習慣病予防、メタボリックシンドロームの改善、ひいては健康寿命の延伸を目指す。
(3)産業保健活動の充実
地域保健との統合が検討されているが、認定産業医を中心として、窓口相談・訪問指導を継続し、地域の産業を担う労働者の健康管理を指導する。
(4)地域スポーツ活動への協力
市民体育祭や各種スポーツ大会に会員は資格の有無を問わずスポーツ医として協力し、安全・競技力の向上に貢献する。
(5)健康教育講座の充実
地域や企業からの講演依頼に快く応じて、健康講話を行い、オープン化された健康教室を継続・充実し、市民は何時でも参加出来るようにする。
(6)健康福祉まつりの充実
老若男女、各種団体が相集い、地域住民の健康への関心を高めるために、三師会が中心となり活動を継続し、盛り上げているが、会員の参加者が固定されている感が否めない。全会員が数年に一度は参加・協力するように努める。

4.医療対策に関する事項

(1)小児平日夜間救急診療体制の堅持
市民病院の小児科常勤医の不在に対して平成17年5月より発足した体制の充実発展のために、隣接大牟田医師会および大牟田市立総合病院と連携し永続性のあるものに構築するとともに、玉名郡市医師会と共同して小児診療の研修に務める。
(2)救急・休日医療対策
市民病院が住民から求められる本来の専門的チーム医療に専念できるように消防救急隊と連携を密にして一次医療、とくに平日診療時間帯での一次救急医療は「かかりつけ医」である医師会員が積極的に担う様に、また休祭日における当番医でも、軽症患者の受入れに積極的に努める。
(3)広域災害への対応の組織づくり
消防・行政と連携を密にして、災害時の救急体制表を作成し、年間数回の模擬訓練や連絡網のテストを行う。
(4)医療事故防止対策と相互支援対策
不幸にして事故発生時は組織を利用した救急処置を行った後、早期に荒尾市医会を通じて、県医師会へその後の対応を依頼する。
医師と患者との信頼関係を重視し、医療機関での安全対策を強化するため、平日救急と後方二次医療機関との連携体制を推進し、出来上がった登録制の充実を目指す。
(5)医療施設の機能分担と相互連携の推進
地域中核病院はそれぞれ専門分野の分担を進め、専門的チーム医療による入院・手術を、診療所は病院(二次医療機関)からの受け皿として回復期のリハビリおよび入院・外来・在宅医療と機能分担の推進をはかる。
(6)適正な保険医療の確立及び医師会の自浄作用の活性化
会員は過剰な検査を控え、良識ある日常診療に努め、限りある医療資源を有効に利用する為、公正適正な保険診療に努めると共に、薬効による処方を認めた厚生省通達を無視した荒尾市国保の保険者再審査による減点を改善する。
(7)医療情勢の検討
刻々と変わる医療施策について、インターネット・日医ニュース・メディファックスなどからの情報をもとに「あらお医報」へ最新の情勢を伝達する。

5.介護保険・障害者自立支援法の公平・公正な運営

民間に開放された介護保険事業は8年を経過し、一昨年度より地域包括支援センターや介護予防事業、さらに障害者自立支援法など新設され、朝令暮改の介護保険等であるが、医師会員は地域住民の立場に立ち、公平公正な介護保険等の運営が継続できるように市の介護保険運営委員会に参加すると共に、介護認定審査会・障害者自立支援審査会・介護支援専門員協会などに積極的に関わり、指導的役割を果たす。

6.訪問看護ステーションおよび居宅介護支援事業所の健全な運営

会員の皆様の協力により、数少ない上記医師会事業の維持発展を図る。

7.個人情報保護法の遵守と情報化社会への対応に関する事項

個人情報保護法に関しては医療介護共にその遵守につとめなければならない。
インターネットによる情報収集・伝達の手段として会員各位はパソコンを設置し、インターネットを利用した医師会ホームページを情報伝達手段として推進する。

8.会員福祉の増進

厳しい医療環境の中であればこそ、会員の意思疎通をはかることが大切である。会員および婦人会会員相互の親睦をはかる為、旅行、ゴルフ、登山、カラオケ、麻雀大会など各種レクレーションを充実し、多くの会員が参加できるよう企画する。
医療事故・医療トラブルの緩和のために相談できる弁護士の推薦リストを作成する。
労働保険事務組合の円滑な運営と共に、会員の高齢化に伴い減少する簡易保険・生命保険加入者の団体保険勧誘に努める。

9.広報活動の充実

激変する社会・医療情勢の中、迅速かつ適確な情報伝達を内外に向けて発信し、医師会活動のPRに努める。

10.医業経営の安定化と医師会活動の強化に関する事項

医療の公共性のもと、医療の安全をはかると共に地域住民に良質の医療を提供する為には医業基盤の確立が求められる。その為には数年来の不当な診療報酬の改定を訴え、その改善の為には会員各位の医政に対する意識の改善が必要であり、強力な医政活動が必要である。即ち医業経営基盤の確立と医政活動とは表裏一体のものである。また日常の診療の中で、患者・家族等に医療行政の問題を語り、理解を得ておく。

11.医師会館の建替え

荒尾市医師会会館は築後40年を超え、老朽化し、訪問看護ステーション・居宅支援事業所と同居し、2階の会議室も診療報酬改定の伝達講習など多人数になると入れなく、役員会を行う会議室や小会議室もなく、また会員が気軽に立ち寄り談話する所もなく建て替えか増築の必要を痛感する。委員会で前向きに検討を進める。

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